2016年1月25日月曜日

神根村があった―四季の自然美


 川口中央図書館の郷土史のコーナーに「神根村誌」という本があります。昭和15年に神根村が川口市に編入されるのを記念して村民自ら発刊しました。村の沿革、歴史、産業、風俗など当時の様子がうかがえるタイムカプセルのような本です。今後順次内容をご紹介していきたいと思います。今回は当時の神根の四季を描写した詩を紹介します。
 
第6節「四季の自然美」
 
苗木は神根の王座を占むる
本村の春は垣根に、家を巡る溝渠(こうきょ)に、庭先に、さては裏庭、道のあたりに競う苗木、花卉、盆栽等の色彩緑葉は唯々美しさに感嘆するのみである

   一眺千里と謳われる見沼田んぼに、忙しく立ち働く人々の姿が見える頃、今まで干からびていた用水には満々と水が湛えられて、田に鳴くカエルの声のひとしお喧(かまびす)しく夏は訪れる。田は一面の緑の毛せんと化し、高い丘々は青葉が深くゆれ動く、この頃になると芝川への釣り人が両岸へいっぱいになる。

見沼田んぼ(埼玉県HPより) 
 
 永い永い夏の夜が、やがて集(すだ)く虫の音とともに長くなる頃、菊の香りにダリヤの目の覚めるような花輪の美しさとともに秋は深みゆく。田には黄金の波がうねうねとゆれ動く。長い苦労にもめげず、輝かしい眼を向けつつ、いそいそと農家の人々は二毛作に忙しい。
 
 カラカラという威勢の良い脱穀機の音と共に、道行く人の息が白む頃、山々の紅葉は一段と目立ち、用水の水はめっきり減水して川底をさらけ出す頃冬は訪れる。のどかな小春日和の様な冬の日盛り、せっせと働く人々。それは畑に見るとき、一幅の絵画の様な神秘的になるくらい美しいわが村である。 
 
  どうです?花木の鮮やかさ、田園風景、四季の移り変わりが目に浮かぶようですね。今も変わらぬものと、今は失われてしまったものがありますが、美しき故郷を後世に残していきたいものです。